高市総理の政策を歴代と比較：積極財政、防衛強化、そして労働改革

🇯🇵 高市総理が描く日本の針路：「積極財政・防衛強化」と「働くルール」再考の波紋

2025年10月24日、高市早苗総理は就任後初の所信表明演説に臨みました。その内容は、前政権の路線を継承しつつも、高市氏独自のカラーである「責任ある積極財政」と「防衛力抜本強化」を前面に打ち出したものです。

特に、演説に先立つ閣僚指示で報じられた「労働時間規制の緩和検討」は、これまでの「働き方改革」の流れに一石を投じるものとして、大きな波紋を広げています。

本記事では、高市総理の演説内容と、安倍・菅・岸田政権の政策を詳細に比較し、高市政権が目指す日本の針路と、それに伴う政策的な論点を読み解きます。

1. 高市総理の政策の核：成長を最優先する二つの柱

高市総理は、デフレ脱却を確実なものにするため、「責任ある積極財政」を推進します。これは、財政規律に縛られすぎず、成長分野へ戦略的に財政出動を行う考え方です。

成長優先の明確化：岸田政権が「分配」に重きを置いたのに対し、高市氏はまず「成長」を最優先し、その結果として税収増と財政健全化を目指す、より強固なサプライサイド（供給能力）重視の姿勢です。
物価高対策：国民生活に直結するコストとして、ガソリン税などの暫定税率の早期廃止を目指すと表明しました。

安全保障面では、歴代政権の中でも最も強い決意が示されました。

防衛費目標の大幅前倒し：2027年度に達成を目指していた防衛費の対GDP比2%水準を「今年度中に前倒しして措置を講じる」と表明。これは、中国の軍事動向などへの強い危機感に基づいています。

高市総理は厚生労働大臣に対し、「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした、労働時間規制の緩和の検討」を指示しました。これは、長時間労働を是正してきた「働き方改革」の流れに逆行するとして、過労死遺族らから強い懸念が上がっています。

高市総理は、岸田政権の「新しい資本主義」による分配策を直接否定していません。しかし、優先順位において明確に差別化を図っています。

政策の軸	岸田文雄総理（新しい資本主義）	高市早苗総理（積極財政）
成長と分配	分配を重視し、「人への投資」を通じて成長を促す「好循環」を目指す。	成長を最優先し、その「成長の果実」として分配（賃上げなど）を実現する。
財政のアプローチ	財政規律を意識しつつ、成長分野に投資。	積極財政を推進し、景気回復の確実性を高めることを重視。

高市総理は、まず財政出動で**経済のパイを大きくする**ことに集中し、その結果として企業収益から賃金という形で分配がなされるべきだ、という**「成長戦略回帰」**の姿勢が強いと言えます。

高市政権の政策を、近年の政権と比較することで、その位置づけが明確になります。

政策分野	安倍晋三 (アベノミクス)	菅義偉 (改革断行)	岸田文雄 (新しい資本主義)	高市早苗 (現政権)
経済の中心	大規模金融緩和（三本の矢）	規制改革、デジタル化	分配、人への投資	積極財政、国土強靭化
安全保障	集団的自衛権容認	安保継承	経済安全保障	防衛費目標の前倒し
内政の焦点	デフレ脱却	行政の縦割り打破	格差是正、資産形成	労働ルール再考、厳格な外国人政策